偽物と本物

 

 

 

遠征の帰り、私は最高のアーティストを見つけてしまった。

 

 

 

 

 

 

そのアーティストは、売れてもなければ

再生も全然されてないような。

というか、昔私がよく入り浸っていた箱に出ていたらしいのだけれども

多分、私は生で見たことがない。

 

たまたま間違えてタップしたその音楽は、

何でこんなに、素敵だったのかはわからない

 

今までの私だったら聞きもしないような、

ロックでもパンクでもないただのj-pop

それなのに、彼の声は私に刺さってしまった

 

 

 

 

 

 

 

ジャンルは、偽物が本物になるために

一生懸命考えた言い訳なのかもしれない

 

区分分けされていたら、楽で、生きやすい

好きなものが同じ人の方が、話が合うに決まってる

 

 

毛嫌いしていたアイドルも、歪んでないギターも、私が拒否していただけで、音楽なのは一緒なのに

 

というか、そもそも音楽とかバンドすら

ジャンル分けされたものだったりして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラス替えは、好きじゃない方だった

ずっと同じ人間で、それ以上の繋がりも、それ以下の繋がりも嫌だったから

ジャンル分けされた自分が気持ちよかった

 

数学で1番下のクラスになっても、

クラス順位別に、席が決まって、当たり前のように後ろの席になったとしても、

私は、自分が属しているところから、

冒険するのがちょっと苦手だ

 

ボーカルになったのだって、最初は間違えただけ

歌を歌うのは好きだったけど、人前で歌うのは最初恥ずかしくて仕方なかったし、

軽音楽部のパート分けで、ギターボーカルとリードギターを間違えて手を挙げてしまっただけ

そういえば、うちのドラムの五十嵐も最初はベースを希望してた

よかったな。あそこで彼がドラムを選んで。

もし選んでなかったら、このバンドはこの世に存在していないし、鏡花乱舞を辞めた時点で音楽とは綺麗さっぱりおさらばしていたのかもな。

 

今頃、結婚して子供ができてマンション買って

親孝行もしていたのだろうか

 

 

 

 

 

 

 

何も言えずに、ずるずるまあいっかでここまできて、結局今でも歌を歌っていて、ナナって名前までつけちゃった。

 

まあいっかで選んだボーカルというジャンル、

本当によかった。

間違えただけだけど、あれが人生で初めてした私の冒険

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

噛み締めすぎて頭が痛いよ

ねむる